2022年5月国会では
厚労省は「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)事案への対応に関する調査研究」を2020年5月に公募しました。受託したPwCコンサルティング合同会社は、2021年4月16日に報告書を発表しました。有識者として学識経験者、医療職、関係学会、弁護士等の9名が調査検討委員会に加わっていますが、多くがSBS仮説信奉者で、対象が頭部外傷でありながら、小児脳神経外科医の参加は1名だけでした。しかも、「人物選定には日本脳神経外科学会の推薦を条件にしたい」と、学会が4月20日に厚労大臣に要望していた事項は無視されていました。
調査対象は「2019年度のAHT疑いで一時保護した乳幼児」で、125名が該当しました。(詳細は、藤原QOL研究所のHPにある「薬事新報:今日のクスリは」の(248)~(261)でお読み下さい)
ポイントの3点をあげると、
本来、職権一時保護は2ヵ月が期限(その間に調査や家庭再統合を行う)と決められているにも拘わらず、125名中、2ヵ月以内に自宅に戻った児はたった6名でした。残りの65名は施設入所(半年から2年)、2ヵ月以上の一時保護が54名で、一時保護された95,2%が乳幼児期に長期親子分離に遭っている事実が明らかになりました。
「虐待か否か」の判定の時に、児相は現在は(転倒や低位落下を受傷機転に認めていないために)保護者の言う受傷機転を否定し、「再発防止」のための長期保護を選択していることが判明しました。そして、そのような症例が決して少なくないことも明らかでしたが、数字として明示されてはいません。ただ、「判定」段階での児相職員の不安と悩みは伝わってきました。
セカンドオピニオンに関わる専門分野は、法医学者が半数を占め、脳神経外科医の関与は6%程度でした。
つまり、2020年12月1日にこのHP(下段)でご披露している中村Ⅰ型と脳神経外科医が呼ぶような「転倒による受傷機転」が問題なのに、そのような観点からの事例の収集はされていません。
この報告書に対して、2021年6月と12月の2回、「中村Ⅰ型を認めるのかどうか」「厚労省の手引きを変えるのかどうか」と、衆議院で質問主意書を出しましたが、いずれも否定的な回答でした。
2022年5月13日衆議院厚労委員会で、立憲民主党の阿部知子議員に24分の質疑の時間が与えられ、後藤厚労大臣の回答を耳にする機会がありました。
声を最初にあげた2017年から5年、少し前進したでしょうか?
2022年6月4日 中村紀夫先生納骨の日に
課題や取組等について整をもって児童福祉施策に資することを目的とし、年度末に報告書が出る予定です。 しかしながら、児童相談所への調査内容を独自に入手したところでは、次ページに提示するマンガ「引き裂かれた家族」のような対応こそが問題なのに、そのような事例の収集はされていません。 マンガの事例は、都内で今年 6 月に起こったことです。 皆様のご判断を仰ぐところです。